「不動産投資」と「不動産賃貸業」の違いとは?融資面談前に知っておくべき基礎知識

今回は、同じ意味で使われることが多い「不動産投資」と「不動産賃貸業」の違いについて考えてみました。
金融機関の融資可否に関わってくる重要な内容だと思いますので、解説します。

・「不動産投資」「不動産賃貸業」何が違う?同じじゃないの?
・表現が違うだけでしょ。

そのように考えている方はご覧ください。

不動産投資とは

不動産投資とは

株や投資信託などと並んで、運用方法の一つ。不動産投資とは、不動産を売買することで、家賃収入(インカムゲイン)や売却益(キャピタルゲイン)を得る投資手法のこと。

そもそも「投資」とは、利益を得る目的で資金を投入し資産を増やすことです。

そして、「投資」なので、株や投資信託などの投資方法との共通点も多く見られます。

オーナーチェンジ物件は、商品(不動産)を売買するだけでインカムゲインやキャピタルゲインが得られるため、投資の要素が強くなります。

土地を仕入れて、収益物件を建築し、満室になったらオーナーチェンジ物件として売る行為は、キャピタルゲイン目的で資金投入しているので、投資の要素が強くなります。

また、「不動産投資」で使われる専門用語は以下の通りです。

  • 利回り:投資金額に対する収益の割合
  • 出口:売ること
  • CCR:「Cash on Cash Return」の略で、投資した資本に対してどれくらい利益を得られたかを表指す指標
  • インカムゲイン:家賃収入のこと
  • キャピタルゲイン:売却益のこと
  • キャッシュフロー:手残りのこと
  • レバレッジ:「てこの原理」という意味で、借金することで、自己資金のリターン(収益)を高めること

株式投資との違い

株式投資は、企業の株を売買することで、配当金(インカムゲイン)と売却益(キャピタルゲイン)を得る投資方法のこと。

投資の世界では

不動産投資:ミドルリスク・ミドルリターン
株式投資:ハイリスク・ハイリターン

と言われています。

不動産投資と株式投資を比較した時の、特徴は以下の通りです。

不動産投資の特徴
・入居者が入るまでは、労働が必要
・利回りは、20%以上も可能
・入居者が入るまでは、インカムゲインが得られない
・戸建の価格は、売主と買主次第なので、相場の影響を受けづらい
・物件を買った後でも、リフォーム次第で多少リカバーできる
株式投資の特徴
・完全な不労所得
・利回りは、高配当銘柄でも3~5%程度
・相場の影響をかなり受ける
・買った後にリカバーできない

「不動産投資」はNGワード

資面談の際、「不動産投資」はNGワードになるので要注意です!

銀行は不動産投資に対して融資しません。融資対象は、あくまでも不動産賃貸業です。

金融機関によってはかなり厳しく見ますので、上記の不動産投資で使われる専門用語は、使うことを避けた方が無難です。

不動産賃貸業とは

不動産賃貸業は不動産業の一種。大家として、自らが保有する土地や建物などの不動産を第三者に賃貸して、賃料を得る事業のこと。

たまに勘違いされますが、宅建業免許は必要ありません!

ちなみに、不動産業は、以下のように分類されます。

  • 不動産開発業:デベロッパーとも呼ばれ、オフィスビルや商業施設、分譲マンションどを自ら開発し、分譲したり、賃貸したりする事業。免許が必要。
  • 不動産仲介業:不動産の売買や賃貸の仲介を行う事業。免許が必要。
  • 不動産管理業:入居者対応や客付け対応など、不動産から得られる収入を最大化するために行う事業。免許は不要。
  • 不動産賃貸業:大家として、自らが保有する土地や建物などの不動産を第三者に賃貸して、賃料を得る事業。免許は不要。

不動産賃貸業の特徴|不動産投資との比較

①事業であること

商品(不動産)を買って保有するだけではありません。以下の業務を行う必要があります。

  • リフォーム
  • 賃借人の募集や賃貸借契約
  • 家賃の徴収や管理
  • 物件の維持管理

空き家や空室率が高い物件は、買った後にリフォームや賃借人の募集など、色々とやることが多いため、不動産賃貸業としての要素が強くなります。

また、不動産賃貸業は、「賃貸経営」ですので、経営者としての判断が必要になります。

例えば、どんな人を入居のターゲットにして、リフォーム費にいくらかけるのか。また、管理は自主管理か管理会社に任せるのか、いくらで貸すのかといった判断です。

②あくまでも「賃貸」であり、「売却」ありきでないこと

不動産投資との決定的な違いは、売却益(キャピタルゲイン)の意味を含めていないこと。

不動産賃貸業は「不動産を賃貸して、家賃収入を得ること」を指します。

その意味では「不動産賃貸業」の方が、「不動産投資」より少し意味の範囲が狭いと言えるかもしれません。

体験談

過去に某金融機関の融資担当者から以下のような指摘をされました。

・オーナーチェンジの収益物件に対しては、投資行為と判断されるため融資が難しいです。
・土地から新築物件を建てる場合、売却前提は投資行為と判断されるため融資しづらいです。
・賃貸用の空き家のリフォーム費であれば融資しやすいです。

金融機関によっては、オーナーチェンジでも融資検討可能ですし、土地から新築物件を建てる場合も融資検討可能です。

ただ、融資担当者によって判断が変わる部分もあると思うので、投資行為と思われるような専門用語を使ったり、考え方を伝えたりすることは、避けた方が無難だと感じました。

まとめ

「不動産投資」と「不動産賃貸業」は線引きが難しく、明確に分けることはできません。

そして、「不動産投資家」と「不動産賃貸業の事業主」としての、両方の判断が必要になりますし、2つの比率によって、その人のスタイルが決まると考えることができます。

「不動産投資」寄りの考え方でキャピタルゲインに重きを置く人もいれば、「不動産賃貸業」という事業として安定したインカムゲイン(家賃収入)を得ることに注力する人もいます。

大切なのは、どちらが正しいというわけではなく、その人に合ったやり方を見つけることだと思います!

今回は以上です。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました!

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