今回は、銀行開拓について。
融資が厳しいと言われた2020年から不動産投資を始めて、1年目で金融機関3行から融資の本承認をもらうことができました。
私がどのようにして銀行開拓を攻略してきたのか、詳しく解説します。
・銀行開拓ってどうやってすれば良いの?
・銀行訪問したけど、門前払いされてしまい取り付く島もない…。
・融資担当者に何を話したらいいの?
・融資承認の確率を上げる方法は?
この記事をご覧いただくことで
ゼロからの銀行開拓のプロセスや融資承認をされるための具体的な方法がわかります!
気になる人は続きをご覧ください。
不動産投資で銀行開拓が必要な理由
不動産投資で銀行開拓が必要な理由
そもそも、なぜ融資付けが必要なのでしょうか。
その理由は、
不動産は高額であるため、融資を受けないと買えないからです。
なかには、絶対に借金したくない、という人もいると思います。
戸建であれば、自己資金の範囲内で買えることもあると思いますが、FIREや専業大家を目指すのであれば、銀行開拓は必須です。
そして、金融機関は、誰にでもお金を貸してくれるわけではありません。
2018年以降、融資が厳しくなっていて、簡単に融資が受けられない状況です。
特に1棟アパートは、優良物件を探すこと自体が難しいのに、更に銀行融資もハードルが高いので、買いたくてもなかなか買えません。
銀行融資の種類|プロパー融資とアパートローン
各金融機関やローンの種類によって、融資を受ける方法が変わります。
まずは、2種類の不動産投資ローンの違いを理解しましょう。
- プロパー融資(事業融資)
- アパートローン
①プロパー融資とは
プロパー融資とは、信用保証協会を通さず、直接、金融機関から融資を受けられる方法。
私の投資エリアでは、地方銀行、信用金庫、信用組合の、全ての金融機関がプロパー融資による審査です。
プロパー融資のメリット
- アパートローンよりも金利が低い
- 案件によって、融資条件が柔軟に対応してもらいやすい
プロパー融資のデメリット
- パッケージになっていないため、審査が厳しい
- 審査期間は、1ヶ月から1ヶ月半かかる
- 金利や融資期間は案件ごとに異なるため、収支やキャッシュフローの計算が事前に予測しづらい
②アパートローンとは
アパートローンとは、投資目的でアパートやマンションなどを購入する方向けに用意されている方法。
パッケージ商品になっているのが特徴。
アパートローンは、属性(年収)と所有資産で、融資の可否が決まってしまうので、今回の記事では、アパートローンよりも複雑なプロパー融資に絞って解説します。
代表的な金融機関を挙げると、オリックス銀行がアパートローンによる審査です。
アパートローンのメリット
- 審査基準や融資条件(金利や融資期間)がある程度決まっているため、収支やキャッシュフローの計算がしやすい
- 融資の可否が本人でも判断できる
- 審査期間が早い ※翌日に仮審査承認がおりることもある。
アパートローンのデメリット
- プロパー融資に比べて金利が高い
- 審査基準が決まっているため、柔軟な対応はしてもらえない
- 属性が良くない人は使えない
プロパー融資を攻略するための手順
プロパー融資を攻略するための手順
以下のような手順で行います。
- 金融機関のリストアップ
- 属性資料の作成
- 金融機関への飛び込み訪問
- 不動産投資の実績づくり
- 法人化
- 預金口座開設
- 融資条件に合う物件探し
- 物件資料を持ち込み、融資相談
- 融資内諾
- 買付証明書の提出・売買価格の決定
- 融資本審査の申し込み
- 融資本承認の取得
- 金銭消費貸借契約(金消契約)
- 融資実行
- 引き渡し
ポイントとなる箇所を1つずつ詳しく解説します。
①金融機関のリストアップ
原則として、金融機関が融資するのは、以下の2つの条件を満たす場合です。
②物件が営業エリア内にあること
所有物件ゼロの人が、融資相談ができる金融機関は以下のとおり。
※メガバンクは相談すら難しいので、候補から外しています。
- 信用金庫
- 信用組合
- 地方銀行
- 日本政策金融公庫
- ノンバンク系(オリックス銀行など)
そして、各金融機関による違いがあるため、特徴を知っておく必要があります。
ちなみに、オリックス銀行は、プロパー融資ではなく、アパートローンによる審査になります。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫から融資を受ける方法については、こちらの記事をご覧ください。
面接から融資結果まで、かなり丁寧に解説されています。
【不動産投資の歩き方】公庫融資の相談予約〜面談〜融資結果連絡までの流れについて、不動産投資初心者の経験談
各金融機関や支店によって違うので、全ての金融機関に訪問することをおすすめします。
②属性資料の作成
以下の資料をつくってから銀行に訪問します。
はじめてつくる時は、かなり大変だと思いますが、融資を申請する時には必ず提出するものなので、慣れましょう。
- プロフィールシート
- 所得がわかる証明書
- 所有資産がわかる書類
- 借り入れがわかる書類(ある場合)
- 所有する賃貸目的の不動産(ある場合)
- 事業がわかる書類
プロフィールシート
- 氏名
- 年齢
- 学歴
- 家族構成
- 職業
- 不動産関連の資格
- 不動産賃貸業(不動産投資)を行う理由
- 趣味などを記載
所得がわかる証明書
- 源泉徴収票(3年分)
- 確定申告書(3期分)
所有資産がわかる書類
- 現預金(通帳もしくは通帳コピー)
- 有価証券
- 不動産などを記載
借り入れがわかる書類(ある場合)
- 借入返済計画表
- 金消契約書
所有する賃貸目的の不動産(ある場合)
- 登記簿謄本
- 固定資産税評価額
- 賃貸借契約書
- 家賃送金明細など
事業がわかる書類
本業の安定収入がある場合は、それほど重要ではありませんが、不動産賃貸業が本業になる場合は、決算書はかなり重要になります。
- 決算書(3期分)
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融資担当者が、決算書を見るポイントを解説しています。
【不動産投資:銀行開拓】融資担当者は決算書の〇〇をチェックする!③金融機関への飛び込み訪問
属性資料を持参し、金融機関に飛び込み訪問します。
ここで注意点です。
「不動産投資」はNGワードです!
「不動産賃貸業」と言いましょう!
確認することは以下の3つです。
- そもそも、不動産賃貸業に融資しているのか。
- どんな人なら、融資が可能なのか。
- どんな物件であれば、融資の対象となるのか。
よくある質問集
必ず質問されることなので、事前に回答を考えておきましょう。
相談者にとって失礼なことは質問されませんが、そう思われているというつもりで臨みます。
・なぜ不動産賃貸業を始めようと思ったのですか?
・なぜその物件を選んだのですか?
・なぜ中古戸建(中古アパート)を選んだのですか?
・想定家賃はいくらですか?その根拠は?
・かかるリフォーム費は?その根拠は?
・確実に返済できますか?その根拠は?
・不動産賃貸業に、いくら使えますか?
・不動産への知識はお持ちですか?
・不動産業界未経験ですが、本当に大丈夫ですか?
・今後の事業展開はどうお考えですか?
・他にも金融機関はありますが、なぜ当行に相談されたのですか?
・当行とお付き合いはありますか?
かなり細かく聞かれますし、どちらかというと冷ややかな態度をされることが多いです。。。
これらの質問に回答ができないうちは、銀行訪問は時期尚早かもしれません。
まずは、しっかり勉強しましょう!
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はじめて金融機関に融資相談をする時に気をつけることについて書いています。
【不動産投資】初心者必見!はじめて融資相談をする時に気をつける3つのこと④不動産投資の実績づくり
どの金融機関からも言われたことは、以下のとおり。
不動産投資(不動産賃貸業)の実績がない人への融資は、非常に厳しいです。
なので、まずは、現金で買える中古戸建で、実績をつくることをオススメします。
ちなみに、私の最初の物件は、中古戸建を現金で買い、リフォーム費を信金から融資を受けました。
そして、事業的規模を超え、所有物件が高い入居率になると、金融機関の反応が変わることがよくありました。
⑤法人化
不動産投資で規模拡大する場合は、法人化をオススメします。
サラリーマンをしながら片手間で不動産投資を行っている人と、法人を設立し経営者として不動産賃貸業(不動産投資)を行っている人とでは、銀行サイドの印象が大きく異なります。
当然、法人化した方が相手に本気度が伝わります。
サラリーマン大家には融資NGだけど、法人には融資OK
ということが、よくあります。
ちなみに、私は戸建3戸の実績をつくり、本気で不動産投資でセミリタイヤを目指すようになってから法人化しました。
⑥預金口座開設
法人化したら、まず融資取引を希望する金融機関の預金口座を開設します。
理由は、融資検討しやすい物件の条件をヒアリングするためです。
最近は、預金口座が作りづらくなっていて、口座開設の申し込みをする際に、以下の書類が求められました。
- 法人の定款
- 法人の履歴事項全部証明書
- 所有物件の賃貸借契約書
- 所有物件の登記簿謄本
- 勤務先の情報
審査に2~3週間ほどかかり、ようやく口座が開設できます。
そして、融資担当者が紹介されますので、融資が検討しやすい物件の条件をヒアリングするチャンスが与えられます。
融資担当者にヒアリングすべきこと
- 不動産賃貸業への融資は積極的?
- 戸建は融資可?1棟アパート/マンションのみ?
- 融資可能な物件のエリアは?
- 融資期間の計算方法は?
- 自己資金はどれくらい必要?
- 金利の目安は何%?
- 初めての取引では、どんな物件なら検討しやすい?
- 資産性か収益性どちらを重視する?
- 気になる物件情報を持参し、具体的にどのように評価するのか聞く
融資検討してもらえる、答えを教えてもらっているわけです。
このプロセスが、非常に重要になります!
体験談|法人の預金口座開設
法人化後の体験談です
大家実績がなかった頃に、門前払いされた地方銀行からは、大家としての実績をつくり、法人化し、預金口座を開設したことで、ちゃんとお客様扱いをしていただけるようになりました。
口座開設ができれば、融資担当者が紹介されます。
そして、こちら側が取引先となるので、ちゃんと対応してもらえるようになります。
⑦融資条件に合う物件探し
金融機関の融資担当者に教えてもらった条件に合う物件を探します。
楽待や健美家などのポータルサイトで探すか、収益物件を扱う不動産屋から紹介してもらうか、のどちらかになります。
オススメは、直接不動産屋から紹介してもらうこと。
ポータルサイトは売れ残り物件ばかりで、欲しいと思える物件はほとんどありません。
プロパー融資で審査通過するための方法
融資審査を通過するためのチェックポイント
金融機関は以下の項目を総合的にチェックします!
- 債務者の属性
- 不動産賃貸業の実績
- 融資対象となる物件の評価
債務者の属性
- 年齢
- 家族構成
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数
- 所有する金融資産
- 負債額
- 所有資格
金融機関は、絶対に貸したお金を回収しなければいけません。
借金を返済してくれる人かどうか厳しくチェックされます。
不動産賃貸業の実績
- 所有する収益物件の数
- 事業の収支
- 他の金融機関との融資実績
不動産賃貸業の経営者として、信頼できるかどうか。
融資対象となる物件の評価
- 収益性|利益が出る物件かどうか
- 資産性|積算評価があるか
- 満室経営できる根拠
- 対象エリアでの、将来の人口動態
長期的な視点で、利益を生む物件かどうか。
融資審査を通過するための3つの条件
①自己資金を物件購入費の27%以上持っていること
最近のトレンドとしては、物件購入費に対して、自己資金2割を求められます。
そして、購入諸経費として約7%も自己資金で賄う必要があります。
つまり、物件購入費に対して、27%の自己資金を所有することが条件になります。
例えば2,000万円のアパートの購入を希望する場合、自己資金として540万円が必要になります。この自己資金を持っていない場合は、融資検討されやすい物件が見つかったとしても、融資NGになります。
でも、実際に私は自己資金1割で本承認をもらっているので、絶対に2割必要というわけではありません。金融機関によって考え方が違うので、確認するようにしましょう。
本業や副業などでなるべく多く稼ぎ、節約して自己資金を貯めることを日頃から意識することが大切です。
②金融機関が融資検討しやすい物件を持ち込むこと
事前に融資担当者にヒアリングして、融資を受けやすい物件の条件を教えてもらうことが、とても重要です。
誰でも優良物件を欲しいと考えていますので、スピード勝負で、少しでも早く融資の内諾を得る必要があります。
そのためには、事前に金融機関が融資検討しやすい物件を把握しておく必要があります。
③不動産賃貸業の規模拡大&満室経営していること
所有物件の規模を拡大し、ほぼ満室で稼働させることが重要です。
物件数が1戸や2戸の時と、事業的規模を超えた時では、金融機関の対応が大きく違います。
また、所有物件の稼働率が50%以下の時、融資相談に行きましたが、融資担当者から以下のように指摘されました。
せめて稼働率80%くらいはないと、本審査が通りづらいです。
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別記事で、空室対策について解説しています。
【不動産投資】空室対策4選|初心者必見!満室にできた客付け方法を解説・金融機関が融資しやすい物件を持ち込む
・規模拡大&満室経営をする
融資審査を通す確率を上げるための4つ方法
確実に融資してもらえるようになるわけではありませんが、融資担当者と仲良くなる方法です。
- 定期預金に申し込む
- メインバンクを変更
- 金融機関が提携している火災保険に加入
- マイカーローンやフリーローンなどで融資取引を始める
①定期預金に申し込む
まだ融資取引がない場合は、定期預金に申し込むと、融資担当者の反応が変わります。
金融機関にとっての、”お客様”になるわけですから。
ご無理のない範囲内で、お試しください。
②メインバンクを変更
不動産投資以外の仕事の、事業決済用や給与振り込み用の口座を変更します。
私は、以前のメインバンクは不動産投資は一切NGだったので、融資を受けるために、メインバンクを変更しました。
金融機関の対応が明らかに変わったので、かなり効果があったと思います。
③金融機関が提携している火災保険に加入
物件購入後の話ですが、必ず火災保険に加入しなければいけません。
今後、銀行開拓を進めるために、融資取引をしたい金融機関が提携している火災保険に加入します。
すぐに結果が出るわけではありませんが、金融機関と良好な関係づくりをするには効果的だと思います。
④マイカーローンやフリーローンなどで融資取引を始める
具体的には、マイカーローンやフリーローン、教育ローンなどが該当しますが、まだ取引のない金融機関と良好な関係づくりの第一歩として、不動産以外で、融資を受けることです。
まずは融資を受けることで、気軽に不動産投資に関する融資相談ができる関係をつくることが大事です。
・メインバンクを変更
・提携先の火災保家に加入
・無理のない範囲で他の融資取引を始める
体験談|はじめて融資審査がとおった事例
まだ大家実績がなかった頃に、なぜ融資審査がとおったのか、ポイントをまとめてみました。
- 宅建士登録をしていた
- 不動産関係の職歴がある
- 30年近く預金口座取引があった
- 物件購入費ではなく、リフォーム費であった
- 借入額が250万円という、そこまで大きくない
- 返済が毎月約2万円であるため、本業の稼ぎで返済できると判断された
地域密着型の金融機関である信用金庫だから、柔軟な対応をしてもらえました。
そして、不動産投資に対して支店長の理解がありました。
私の属性と、これまでの信金との関係、支店長の理解が上手く重なって、良い結果が得られた事例です。
はじめての融資相談は、柔軟な対応をしていただける信用金庫か信用組合、もしくは大家としての実績を問わない日本政策金融公庫をオススメします!
それに加えて、不動産賃貸業の事業実績を重視しないオリックス銀行もオススメです!
・信用金庫
・信用組合
・日本政策金融公庫
・オリックス銀行
まとめ
今回の記事の要点は、以下のとおり。
- 融資には「プロパー融資」「アパートローン」がある
- 銀行開拓の手順を理解する
- しっかりと勉強してから融資相談する
- 融資は「債務者属性」「事業実績」「物件」で審査される
- はじめての融資相談は「信用金庫」「信用組合」「日本政策金融公庫」「オリックス銀行」がオススメ
今回は以上です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。