今回のテーマは中古戸建の指値交渉について。
・安く買える物件には、どんな特徴があるの?
・なかなか指値が通らない。どうやったら、安く買える?
・売主にどのように伝えて指値交渉すれば良いの?
この記事をご覧いただくことで、指値しやすい物件の特徴、指値する時の交渉テクニックがわかります。
気になる方は、続きをご覧ください。
指値交渉がしやすい条件と目安
指値とは
不動産売買で、購入希望者が指定する金額のこと。
売主の本音は、”少しでも高く売りたい”、ということなので、安く買えるように交渉を進めるのは簡単ではありません。
指値交渉がしやすい条件
私の経験上、以下のような物件は指値交渉しやすいです。
- 相続で親から譲り受けた
- 半年以上売れ残っている
- 売主が高齢者
- 売主が遠方に住んでいる
- 残置物が大量にある
- かなりリフォームが必要と思われる
- 売買の不動産屋が元付業者である
相続で親から譲り受けた
売主は、自分が買ったわけではなく、所有しているだけで維持費(固定資産税など)がかかるため早く売りたい、と考えている場合がよくある。
半年以上売れ残っている
売主は、金額を下げて早く売らなきゃと、焦る傾向にあり。
売主が高齢者
自分が元気なうちに早く売らなきゃと焦っている場合がよくある。
売主が遠方に住んでいる
相場がわかっていない場合がよくある。
残置物が大量にある
売主は、片付けが面倒だと思っている。”残置物撤去はこちらでやるので、その分安くして下さい”と伝えると喜んで応じてくれる場合が多い。
かなりリフォームが必要と思われる
売主は、建築や不動産の素人である場合がほとんど。リフォーム費の相場がわかっていないので、”リフォーム費〇〇万円がかかるので、その分安くして下さい”という交渉に応じてくれる場合がよくある。
売買の不動産屋が元付業者である
このあと説明します。
上記の項目に該当するのかどうか、不動産屋に必ず確認をします。
指値の目安
物件価格の1割程度あれば、比較的通りやすい、と言われています。
でも、高利回りを狙うなら、大幅に指値を通す必要があります。
戸建であれば、売出価格の半額以下で指値することはよくある話。
上記のような条件に該当する場合は、大幅指値を通すチャンスですが、なかなか指値は通りません。
私の経験上、大幅指値の成功率は1/10くらいです。
売買仲介の不動産屋が元付業者だと指値交渉しやすい理由
不動産売買の仕組み|元付業者と客付業者
まず不動産売買の仕組みについて説明します。
不動産の売買は、売主側の不動産屋(元付業者)と、買主側の不動産屋(客付業者)それぞれ2社が共同して、取引を成立させます。
また、売主側の不動産屋が買主側の不動産屋を兼ねる、つまり1社が元付業者でもあり、客付け業者でもある、こともよくあります。
前者を片手取引、後者を両手取引といいます。
元付業者は、売主と直接繋がっているので交渉がしやすいのです。
不動産売買の仕組み|仲介手数料
次に、不動産屋がもらう報酬(仲介手数料)の仕組みについて理解しましょう。
以下のように法律で定められています。
ちなみに、物件価格によって、仲介手数料の計算式が変わります。
仲介手数料のシミュレーション
不動産屋がもらう報酬(仲介手数料)をシミュレーションしてみましょう。
今回は、以下のような場面を想定。
物件価格600万円に対して、300万円で指値を入れたい!
元付業者でもあり客付業者でもある(両手取引)A社の仲介手数料を計算します。
※わかりやすくするために税金の計算は省略しています。
300万円という金額で、売主と交渉してくれるかどうかはA社次第です。
以下のようなA社の心理である、と想定できます。
300万円は相場よりもかなり安いなぁ。
でも待てよ、相場並みの金額、400万円で他の業者が連れてきた客から指値が入るかもしれないなぁ。
”300万円の両手取引”と”400万円の片手取引”どっちが得だろうか。
”300万円の両手取引”と”400万円の片手取引”を比較します。
A社は元付業者のみである場合。
つまり、以下のことが言えます。
A社は400万円で片手取引よりも、300万円で両手取引の方が儲かる。
そして、売主を説得してくれるのは、元付業者です。元付業者を味方につけて、大幅指値を狙いましょう。
指値交渉のテクニック紹介
戸建の場合、売主は不動産の素人であることが多く、1棟アパートと比べて指値交渉しやすいです。
少しでも高く売りたい!
このように思っているので、売主が納得してもらえそうな理由をつけて指値交渉します。
正当な理由もなく「安くしてくれ」、という交渉は通りません。
では、どのように理由をつけたら良いのでしょうか。
私がよくやる交渉テクニックをご紹介します。
希望する物件価格の計算方法
利回りで計算します。
立地や物件のスペックにもよりますが、私の目安は表面利回り20%です。
・84万円÷20%=420万円
物件価格+購入諸経費+リフォーム費<420万円
になるように、物件価格を計算します。
ただ、この求める利回りは投資家側の都合で、売主には関係のない数字なので、利回りを理由に指値はできません。
表面利回り20%の物件に仕上げるために、指値理由を探すイメージです。
①物件の問題点を理由にする
- シロアリ被害
- 残置物
- 傾き
- 異臭
- 接道悪い
- 駐車スペースの不足
問題点を直すための費用分だけ、安くしていただけませんでしょうか。
リフォーム費や残置物片付けの撤去費など、理由をつけて指値交渉をします。
ただし、売主を怒らせてしまう可能性があるので、伝え方は丁重に。
②一物五価など、積算評価を理由にする
よく使うのは、路線価での土地値、固定資産税評価額、金融機関の担保評価、実勢価格です。
売主には、客観的な根拠となる数字の中で、一番金額が低い数字を使って交渉します。
例えば、土地値400万円、固定資産税評価額600万円、担保評価300万円、実勢価格700万円であれば、担保評価を使います。
銀行の担保評価が300万円なので、300万円を希望します。
③組み合わせ事例
・担保評価:約245万円(固定資産税評価額×49%)
・実勢価格:680万円(34坪×坪単価20万円)
・残置物撤去:35万円
銀行の担保評価が245万円。残置物の片付けに35万円かかるので、その分をご負担いただけませんでしょうか。
これらの理由により、210万円を希望します。
お母さまが長年住んでいらっしゃったお家を大切に使わせていただきます。
ご検討宜しくお願いいたします。
このようにして、大幅に指値が通りました。
まとめ
不動産投資で指値を通すための目安やコツについて、交渉テクニックについて解説しました。
この記事の要点は、以下のとおり。
- 指値を通すには、指値しやすい物件の特徴を知ること
- 元付業者の不動産屋を味方につけること
- 半額以下のような大幅指値は、失敗するのが当たり前
- 売主に納得してもらえる指値理由を添えること
ダメ元のつもりで、指値交渉していきましょう。
今回は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました!